高校生専門、進路選択アドバイザーのおかもってぃです。
みなさんは今、何を基準に進路を選んでいますか?
偏差値
のみで進路を選び、大学選びを失敗した僕のマネはして欲しくありません。
もうちょっとしっかり調べて、自分の進路を選んでほしいなと思い、今回の記事を書いています。
こちらは小学生女子が就きたい職業のランキング(2015年度)です。
1位:医師
2位:パティシエール
3位:薬剤師
4位:教師
5位:保育士
(出典:日本FP協会『将来なりたい職業』ランキングより)
近年はドラマの影響等もあり、『医師』に人気が出ているらしいのですが、
女の子から不動の人気を誇るのが『パティシエ』ですよね。
実際にイメージもしやすいためか、製菓系の専門学校を志望している人は割とよく見かけます。
でも、そんな生徒に、
『なんでなりたいの?』って聞くと
『お菓子作りが好きだから』っていう答えが90%帰って来るんですね。
でもちょっと待って!!!
そんなに甘くないでしょ!
僕だってお菓子作りは好きですよ。
だってちょっと手間かけて作ったおやつって
市販しているものよりもずっと美味しいんですもん。
でも、パン屋さんなり、ケーキ屋さんなりに就職した人の大変な労働条件はよく耳にします。
本当にそんな理由で選んでいいの?って老婆心ながら思うわけなんですよ。
そんなわけで今日は製菓系の専門学校に進みたいと思っている皆さんの代わりに、僕がいろいろ調べてみたいと思います。
製菓系専門学校に関する情報を調べてみました
製菓系専門学校の学費は?
製菓系の専門学校の授業料は他の専門学校とあまり変わりませんが、
年間の実習費が約50万円ほどかかるんです。
美味しいものをたくさん作るためにはしょうがないとは思いますが・・・
そのため学費もかなり高いんです。
実際にこちらのサイトで学費を調べてみると
2年間で3,136,000円
『東京専修学校各種学校協会資料・学生生徒納付金調査』を元に計算してみると
2年間で3,100,000円
いずれにせよ、300万を超えることは間違いないみたいです。
1年間の授業料だけで言えば私立大学よりもはるかに高いです。
私立文系大学に通ったときの4年間でかかる費用の合計が3,860,000円なので、製菓系専門学校の学費の高さがうかがえます。
製菓系の専門学校の就職率・就職先は?
パティシエになるために必要な資格は特にありません。
そのため、専門学校を卒業したら実務経験をひたすら積むことが必要です。
最も多い就職先が
ホテル・ブライダル・レストラン業界
洋菓子、和菓子業界
パン業界と言われています。
それらの環境で下積みを積んで、独立や昇進目指すパターンが多いそうです。
就職率に関してはほとんどデータがありませんが、何校か覗いてみることにしましょう。
ちなみに専門学校や大学が出している就職率に関しては100%信じることはお勧めしません。
就職率の算定の仕方については明確な決まりはなく、各機関が独自の基準で作成しているからです。
就職率は(就職者数)÷(就職希望者数)で割り出されることが多いです。
この就職希望者数というのがやや怪しいところで、
連絡が取れなくなった人や公務員試験で落ちた人はカウントされなかったり、
就職が決まらなかった人は、『就職を希望しません』という同意書にサインさせられたり、
といったごまかしが行われているという意見もあります。
不景気のさなか、就職率はかなり重要なデータなのでそこの実績をアピールしたいのは分かりますけどね。
そんなことも考慮しながら見ていって欲しいなと思います。
東京製菓学校
ここの就職率はほとんど100%。
就職を希望していない生徒もほとんどいません。
そして何よりすべての就職先を紹介しています。
この気合の入れようは半端ないですね。
試しに洋菓子専科の就職者数を数えてみました。
卒業生:124人
就職希望者:122人
就職者:122人
就職率は100%ですね。
紹介されていた企業を数えてみると
なんと378社。
複数合格した場合も含めて書いているみたいですね。
まあ高校や予備校が進学実績を謳うときもよくやる手法です。
日本菓子専門学校
ここもほとんど100%と謳っていますが、
就職希望者ではない人が、卒業生185人中44人もいるのが気になりますね。
内訳は留学生が15人、進学が4人、家業継承が1人、それ以外が24人ということです。
求人数が多いこともアピールしていますが、その企業がこの専門学校にだけ求人を出している、なんてあり得ませんよね。
当然他の専門学校生との競争になるはずです。
その辺りは注意してみた方がいいんじゃないかなと思います。
大阪調理製菓専門学校
こちらの就職率の実績は98.5%。
これが就職希望者のみの割合かどうかは記述がないので判断できませんね。
卒業生が何人いるのかも、分かりませんでした(しっかり探せばあるかもしれませんが・・・)。
ここも就職先がずらっと紹介されています。
結論としてはどこも似たり寄ったりという印象を受けました。
ただ、製菓系の専門学校においては就職先との『コネ』も重要らしいです。
そのため、歴史の古い製菓系の専門学校は築いてきたパイプラインが太く、就職に有利という現状があるみたいです。
実際にそれを直接的に売りにしているサイトもありました。
リライブフードアカデミー『製菓の専門学校に通う最大の利点は就職先にアリ?』
これは、製菓系に限った話でもないですが、職種を選ばなければ就職先はたくさんあるみたいですね。
お菓子・パンの製造業者は年々増えていっているみたいですし。
ただし、いわゆる一流のホテルに勤めたかったら、『コネ』があるのかどうかも重要な判断基準になるかもしれません。
パティシエという仕事を調べてみました
パティシエの仕事内容
パティシエはもともとフランス語で『菓子製造人』という意味らしいです。
パティシエと言うと綺麗なデザインを施したり、新しいスイーツを開発したり、
といった華やかなイメージを持っているかもしれません。
独自のスイーツで国際コンクールの賞を取りました!!!
みたいな印象ありますよね。
しかし、実際に求められることは
同じものを同じ味で作り続ける技術だそうです。
基本的にレストランのメニューって、
ケーキ屋さんのメニューって、
そこまで変わらないですよね。
チョコレートケーキのデザインって、
チーズケーキのデザインって、
ある程度決まってますよね。
だからこそ、独創性よりも正確に同じものを作る力が求められるんです。
また、場所によっては完全に分業制にするところもあるようで、その場合、
型を作る人
生クリームを塗る人
盛り付けする人
のように分かれるようです。
もうひたすら同じことを繰り返す単純作業と言えばそれです。
自分でオリジナルのデザートを作る!
そんな夢や目標はあってもいいと思いますが、なかなかそうもいかないのが現状みたいです。
パティシエの労働時間・収入
どんなサイトを見ても大変・激務と書いてあります。
だいたい、『でもやりがいありますよ!』と締めくくっているのですが・・・
仕込みは朝の4、5時~始まることもあり、夜も次の日の準備等に終われ、日をまたぐこともしばしば。
新人の場合は自分の技術も磨かなければならないのでさらに修行をしたり・・・
下手なブラック企業よりも、よっぽどひどいんじゃなかろうかという現実があります。
クリスマスやバレンタインデーなどの繁忙期はなおさらとのこと。
さらによく言われるのは収入が低いということ。
年収200~300万くらいが平均で、組織に勤めて、
マネージャー、チーフと昇進していけば最高500万くらいというのが現実の様です。
低い人だと200万にも満たないこともあるそうですね。
異常に高いパティシエの離職率
上記に紹介したような過酷な労働環境のために
パティシエの離職率はとんでもなく高いという現状があります。
1年以内に辞める人が70%、
3年以内になると90%
仕事を辞めるというデータが出ています。
一般的な平均は
1年以内が10~20%
3年以内が20~30%
ですからその高さがうかがえますね。
もちろん、キャリアアップやスキルアップを考えて転職をしている方もいるとは思いますが、
この高さには本当にびっくりです。
高い授業料を払うために、奨学金を借りて、
でも過酷な労働条件と薄給のせいで返済が出来ない上に、
過酷な労働環境に耐えかねて仕事を辞めてしまった。
残ったのは借金のみ。
すみません。
あんまりマイナスなことを言うのは好きではないのですが、
そんな最悪なシナリオが浮かんでしまいます・・・
こうなってしまう可能性も考慮して製菓の専門学校という道を選ぶべきだと思うんです。
『自分も大好きなお菓子を作って人を喜ばせたい!』
そういう想い自体は本当に素敵だと思います。
その純粋な想いを叶えられる職場だったらいいなと思います。
でも、将来のことを考えると、
自分の教え子に製菓系の専門学校を勧めることを僕は出来ないと思います。
よっぽどの強い意志があれば別ですが。
パティシエになるためのアイデアを考えてみる
そうはいっても何とかお菓子作りを仕事にしたい!
そんな人のためにパティシエになるためのアイデアを勝手に考えてみます。
ただ、起業したこともなければビジネスの勉強もあまりしたことがない私が書いています。
あくまで参考程度に・・・
ビジネスを学んでからパティシエになる
これはほとんどの高校生が持っていない視点だと思うのですが、
『売ること』は作ることと同じくらい重要です。
そんなに高い技術を要するお菓子じゃなくても、広報戦略を上手く取れば売れるのが現在の社会だと思いますし、
そもそも一般のお客さんがそんなに高い技術をお菓子に求めているでしょうか?
この間、僕の地元、東京の多摩市に帰ったら新しいケーキ屋さんが出来ていて
そこに、『多摩らんラスク』というものが売っていたんですよ。

たまらなく美味しいというネーミングは寒いの商品だったのですが、
平成の大開発で出来た、郊外のベッドタウンである多摩市。
そんな多摩市にある有名なものと言えば、
『想像と違ってがっかりすると定評のあるサンリオピューロランド』
くらいなんですよ。
有名な名産もお土産も一切ないんですね。
でも初めて『多摩』って名のつくお菓子を発見したんです。
すごく嬉しくてたくさん買って帰りました。
言ってしまえばただのラスクですよ。
作るのに4、5年修行する必要なんてないと思うんです。
でも買いたい人はたくさん買っていきます。
要は、お客さんが買いたいものを作れるかどうか、重要なのはそこだと思うんです。
そのために、商品を売るために必要なことを学び、ビジネスを経験(お金はここで貯めましょう)。
その後お菓子作りを学んで、それから独立する。
みたいな順番でもいいと思うんですよね。
パティシエになるために必要な資格は、実務経験を積めば取れるので、必ずしも専門学校に行く必要はないですし。
もし、気が変わったら、そのままビジネスの分野で活躍し続けるという選択も取れるので、いきなり製菓の専門学校に行くよりはリスクヘッジになると思います。
実店舗を持たずにネットで販売を行う
調べてみたらこんなスイーツ店がありました。
実店舗は持たずにネットでの販売のみを行っているそうです。
ここのシェフの人の経歴はすごい立派ですが。
人を雇うことも、場所を持つことも
経費がかかるためリスクが高いです。
ケーキ屋さん、洋菓子店、というと必ず実店舗がなければならない印象は強いですが、完全受注のネット販売のみを行うのもありなんじゃないかなと思います。
もちろん、独自の売りを出したり、より多くの人の目に触れるように努力することは大切ですが。
他の仕事をしながら、ネット販売を行い、軌道に乗ってきたら本格的にやってみる、
という選択もありなんじゃないかなと思います。
イスラム教徒の方向けのスイーツ店を作る
近年、日本人にはイスラム教の観光客が増えています。
2020年までには100万人に達する見通しだそうです。
イスラム教徒であるムスリムは食べてはいけない食材が厳密に決まっています。
ムスリムが取れる食事を『ハラール』と言いますが、
ハラールを提供しているレストランはまだまだ少ないのが現状とのことです。

そこで、ハラールを提供するスイーツ店を開業!
イスラム教徒から大人気のお店に!!!
とまあ、安易な意見ですが、いかがでしょうか。
いずれにしても、今はコンビニでも美味しいスイーツが買える時代です。
独自の売りを明確にしていかなければ、スイーツ店が存続し続けることは難しいのではないかと思います。
まとめ
以上、みなさんに代わって、製菓系専門学校・パティシエについて調べてみました。
もっともショッキングだったのが高すぎる離職率・・・
正直、自分の生徒には、安易に製菓系専門学校を勧められないなと思ってしまいました。
本当に強い意志を持って、高い志を持って、目指せるのであればいいと思います。
でも、お菓子作りが好きだから、というだけの理由では続けられない仕事なんじゃないかなという印象です。
もちろん、これはパティシエに限った話ではないですが、
『〇〇が好き⇒××になろう』というのは理由としては浅すぎます。
進路を考えるときはさらにもう一歩先、
なってどうしたいか?
誰にどんな風に貢献したいか?を考えてみてください。
本当に重要なのはそこだからです。
『パティシエになって、人を喜ばしたい!』という場合、
重要なのはパティシエになることではなく、“人を喜ばせること”です。
パティシエにならなくても、人を喜ばせる手段はいくらでもありますよね。
だから、必ずしもパティシエになる必要性はなくなります。
極論、人を喜ばせるのであればどんな仕事でもよいということになります。
でも本質的に正しいです。
職業は、自分の本当の目標を叶えるための手段にすぎません。
その辺りについてはこちらの記事に書いたので、良かったら参照してみてください(※Coming Soon)
みなさんが納得の行く進路選択が出来るよう、心から応援しています!
ではまた!