「先生~、この間授業で、自分の強みとか性格とか分析したんだけど、なんかいまいちよく分からないというか、これがどう進路選びにつながるのかよく分からないんだよね~。」
「そうだね~。でも、自己分析が職業や学部選択に繋がらないのはしょうがないかも・・・」
「えっ?そうなの???」
「うん。そうだね~、どこから説明しようかな・・・結論を言えば、自己分析で重要なことは『自分の価値観を知ること』に尽きるんだけど、まずは『自分の性格』を知ろうとすることは全く意味が無い、っていうことを説明するね」
「えっ!?自分の性格知っても意味が無いの???何それ!?」
性格は関係性の中でしか決まらない
仮に怒りっぽいAさんという人がいるとしましょう。
さて、問題です。
果たしてこのAさんは『赤ちゃん』の前でも怒りっぽい人なのでしょうか?
そんなわけないですよね。
もしかしたら女性や子供の前でも怒りにくいかもしれません。
他にも、ものすごい怖い頑固者のおじいちゃんが孫にはデレデレ!みたいなことってよくありますよね。
皆さん自身も、家族、高校の同級生、部活の仲間、塾の知り合いなど、それぞれの集団ごとに性格を使い分けてるはずです。
性格は人と人との関係性の中で決まるんです。
だから、「私は○○な性格です。」というのは1つに言えるわけがないんですね。
いつでも変わらない自分の性格、なんてものは無いということを知っておいてください。
「というわけなんですね。血液型で性格診断とか愚の骨頂ですよ。」
「え~血液型診断とか好きなのに・・・同級生の女の子ともけっこう盛り上がるんだけどな・・・先生、そういうこと言ってると女の子にモテないよ。」
「そ、それは、本題とは関係がないので・・・」
「やっぱモテないんだ!そりゃそうだよね~」
「う・・・うるさいな!はい!もう終わり!もう次!!!次のトピック行くよ!次は、適正診断をしたとしても、それが職業や学部には結びつかないよって話です。」
適性診断が職業や学部に結びつかない理由
適性診断をした結果、自分の得意な事や好きなことが見つかっても、具体的な職業や学部には結びつかないことが多いです。
例えば、「人に教えることが得意、人と話すことが好き」そんな風な分析結果が出たとしましょう。
この人に向いている職業は何だと思いますか?
教師!!!
って言いたくなりますよね?
でも、本当にそうなのでしょうか?
まず基本的に、人と話さないで完結する仕事はほとんどありません。
人と話さなければならない仕事ばかりだということですね。
また、誰かに分かりやすく教える技術はどんな仕事でも求められます。
コミュニケーション能力ってやつですね。
だから「人に教えることが得意で、人と話すことが好き!」というこの人の特性は、世の中のありとあらゆる仕事で必要だということです。
そもそも、とある職業をするのに向いている特性をきっちり決めることは不可能です。
例えば、先生に向いている人ってどんな特性を持っているのでしょうか?
勉強が得意?子供が好き?面倒見がいい?
あげてみても終わりがないですよね。
それに、その条件に当てはまらない先生もいるはずですよ。
こんな風に、その人の得意な事や強みといった適正を単一の職業に当てはめることは難しいですし、そもそもある職業への適性を決めることも不可能。
そんなわけで、自分の適正が分かったとしてもそれを職業や学部に当てはめるのはけっこう難しいんです。
そういうことが分かっていなくて、適性診断で生徒と職業のマッチングをしてしまっているところは多いと思いますが・・・
「へ~なるほど・・・そういえばこの間友達がVRTカードやってて、自分がなりたい職業には向いてないって結果が出てショック受けてたな。」
※VRTカード・・・職業への興味や自信度を元に自分自身の興味の方向性や適正を明らかにするツール
「参考にならないわけではないと思うけど、VRTカードのテスト結果に従う必要は全くないですね。VRTカードの元になってる理論は割と古いものだし。」
「そ~なんですね。友達に伝えておいてあげよ!ありがとうございました!」
「ちょっと待って!!!まだ性格診断も適正診断もダメって言っただけだから!肝心なところ伝えてないから!」
「そ~でした~。忘れてました~。おなしゃ~す(お願いします)。」
「ぼちぼち面倒くさくなってきてない?最後重要なところだから頑張ってよ、笑」
「はいはい、おなしゃ~す。」
「・・・まあいっか。では最後に、自己分析で一番大切なのは『価値観を明らかにすることだよ!』って話をします。」
先生になりたい人は、先生になりたいわけではない
先生になりたい人って先生になりたいんだと思いますか?
何言ってんだこいつ?って思うかもしれないんですが、先生になりたい人って先生になりたいわけじゃないんです。
なぜ先生になりたいのか?がこの人にとっての本当の理由なんです。
それは人によって違います。
「人に教えることが好きだから」
「生徒の心により添える存在になりたいから」
「生徒に勉強の楽しさを伝えたいから」
いろいろあると思いますが、ここに各個人の価値観が反映されるんです。
この理由を深めて深めて、自分の価値観を明らかにすることが何よりも重要なんです。
価値観というのは、自分が働く理由、学ぶ理由です。
それは、自分の内側から湧くモチベーションになります。
みなさんも、人にやらされた勉強は全くやる気が出ないけど、自ら進んでやっている習い事や部活はかなり頑張れるのではないでしょうか?
人間は外から与えられた動機づけではあまり動けないですが、自分の内から湧くモチベーションならやる気が出るんです。
自分の価値観とは、言ってみれば自分のエンジンなんです。
進路選択というと、何をやるのか?ということに目線が行きがちになりますが、なぜやるのか?その理由=自身の価値観もとても重要なんです。
「なるほど~なんか確かに分かるような気がする。勉強とかめんどいけど、部活のダンスとかは本当に楽しいからな~。」
「そこには、自分の価値観が必ず反映してますよ。僕は勉強大好きですからね。」
「うわ~、先生とはたぶん友達になれないね~」
「こんなに楽しいのにな~・・・まあそのうち分かると思いますよ。最後に、価値観を特定してもそれが職業や学部には結びつかないことが多いよ、ということを説明しますね。」
価値観を突き詰めると職業・学部はどうでもよくなる
価値観は突き詰めれば突き詰めるほど、抽象的なものになっていくのでどんなものに当てはまるようになります。
先ほどの例で、先生になりたい理由として
- 教えることが好きだから
- 子供と接することが好きだから
こんなものがあがっていたと思います。
もちろん、まだまだ深堀していくことが必要ではありますが、「教えること」も「子供と接すること」も先生以外の職業はいくらでもありますよね。
価値観が特定できると、どんな仕事でもその価値観を発揮することは出来てしまうのです。
ちなみに僕自身の価値観は、「自分の考えを相手の頭に移転すること」なんですが、これってどんな分野でも行うことが出来てしまうんです。
こんな風に自身の価値観を深めていくと「何をやるか?」はあんまり重要で無くなってしまうんですね。
これが、自己分析をしても職業や学部に直接結びつかない理由です。
「は~、そうなんだ~。でもますます私の進路が決まらない!ってことになるんだけど・・・」
「進路は『決める』しかないですね。都合よく自然に見つかるものではありません。どれを選んでも正解はないですしね。自分がちょっとでもいいから興味を持つものを探して、深めてみるといいと思いますよ。どの道を行くかではなく、選んだ道でどう生きていくかの方が大切ですからね。詳しくは
将来の夢がない高校生必見!目標がない人のための大学・学部の選び方
でまとめたので見てみてくださいね。」
「は~い。でも、私に価値観なんてあるのかな~?」
「価値観がない人はいないので安心してください。長くなってしまったので価値観の探し方はまた、次にしますね。」
まとめ
以上、進路選びのための自己分析でやりがちなこと、重要なことをまとめました。
- 性格診断や適性診断ではどの職業や学問に合うかは分からないことが多い
- 自分自身を動機づけする価値観を明らかにすることが重要
今回の記事をきっかけに、自分の価値観ってなんだろう?って考えてもらえたら嬉しいです。
その探し方はまた後日書かせていただきますね。
最後まで読んでくださりありがとうございました!