「進路進路って言われるけど、将来の夢が全く見つからない!」
そんな悩みを抱えていないでしょうか?
こうすれば将来の夢が見つかる!という100%明確な方法を僕も示せればいいのですが、そんな便利なものは今のところ持ってはいません(ヒントになりそうなことはありますが・・・)。
そんな中でも、皆さんの進路選択の参考に、今回は、とある物理学者の生き方から、進路決定において重要なエッセンスを学んでいきたいと思います。
物理学者リチャード・ファインマン
みなさんは、リチャード・ファインマンという物理学者をご存知でしょうか?

ノーベル物理学賞も受賞した偉大な科学者です。
偉大な科学者というと、奇人や変人で近寄りがたい人が多いらしいのですが、ファインマンは親しみやすい人物だったようです。
彼は好き嫌いがはっきりしていて自分の関心のあることしかやらなかったよう。
そんな風に自分のこだわりを貫き通した彼の生き方からは、進路選択に悩む高校生が参考に出来ることがたくさんあると感じます。
そんなわけで、彼の晩年を綴った書籍『ファインマンさん最後の授業(英題:FEYNMANS RAINBOW)』より、アドバイスになるような言葉を拾っていきたいと思います。
将来の夢は『自分にとって価値があるか』で決めるべき
『ファインマンさん最後の授業』は、大学院を卒業したばかりの若手の物理学研究者と、ファインマンの会話が描かれています。
その幾節かを紹介していきます。
以下は、自分がどんなことを研究するべきかに悩んでいる若手研究者とファインマンの会話です。
「ほとんどの人がナンセンスだと考えている理論を研究するのは、賢明だと言えるでしょうか?」
「ある場合に限っては、賢明だろうね」
「と言いますと?」
「君自身が、ナンセンスだと思っていない場合だよ。」
若手研究者は、その当時マイナーで、多くの人に批判されてきた物理学の理論に興味を持ち、それを研究テーマに選ぶのはどうなのか?ファインマンに助言を求めます。
ファインマンの結論はいたってシンプル、「君自身がナンセンスと思っていないかどうか」だけです。
人に何を言われようが関係なく、自分の感覚に忠実に、研究テーマは選べばいい、ということです。
将来の夢もきっと一緒です。
人に何を言われようが、ナンセンスだと思われようが、自分がナンセンスだと思わないのであれば、その道に突き進んだらいい、ということだと思います。
重要なのは美を感じるかどうか
この本の英題にもなっている、『虹』についてのファインマンの会話です。
とても美しくて、僕も好きな描写です。
「デカルトが虹を数学的に分析しようと思ったのは、虹にどんな特徴があるからだと思う?」
「え~っと。虹は水滴の浮かんでいる大貴に、観測者の後ろから日が差したときに出来る色のついた弧の連続体で、正確には円錐体の断面です。」
「それで?」
「デカルトは、その水滴に注目して、虹の成り立ちを幾何学的に分析すれば問題は解決すると考えたんじゃないでしょうか?」
「君はこの現象の大切な特徴を見落としているな。デカルトがその気になったのは、虹を美しいと思ったからだよ。」
物事を追究したくなるのは、そこに『美』を感じるから。
人によって『美』の感じ方は異なると思いますが、『美』があるからこそ、求めたくなるもの。
美しさがないにも関わらず、追い求めているものは、社会や人からの評価を気にしているだけかもしれません。
みなさんが今、考えている進路にみなさんが感じる『美』はあるでしょうか?
好きかどうかが結局すべて
若手研究者は、親友のレイに、「なぜあなたは物理学をやっているのか?」と質問されます。
若手研究者は、上手く答えられませんでした。
それに対するファインマンの回答はシンプルです。
「僕は数学の問題を解くのが、ずっと大好きでした。必死に考えるのが楽しくて。それと、何か考え付いたときとか、新しい考えが浮かんだ時の、あの感じが好きなんです。」
「だったら、それが君が探していた答えなんじゃないか?」
「と言うと?」
「レイと話をしたとき、レイは言ってたよ。君に、なんで物理が好きなのか聞いたけど、君は答えられなかったって」
「ああ、そうでした。」
「だから、その答えが今、分かったじゃないか。君が物理を好きなのは、必死に考えるのが楽しくて、創造的になるのが好きで、問題を解くのが好きだからなんだろ?」
「それは答えにならないと思います。」私は言いきった。
「それは答えにならないと思うって、どういう意味だい?それは僕の答えじゃないけど、君の答えにはなってるだろ」
結局は自分が好きかどうかがすべてなんです。
世の中を勝手に複雑にしているのは僕ら自身です。
世界は本当はもっとシンプルなんだと思います。
やりたいと思ったら、好きだと思ったら、それが追求する理由になるんです。
心の中ではやりたいことに気付いている
「やりたいことが分からない」
「将来の夢がない」
とみんな言います。
僕も言います。
でも、人間はやりたいことが本当は分かっています。
分かっているのに、その実現可能性の低さに知らず知らずに自信を失い、「分からない」と嘘をついているだけです。
将来の夢ややりたいことは、想像したらワクワクするものです。
それを追求すればいいんです。
「電子顕微鏡で映した、原子の写真を見るとする。いいね?ちらっとじゃダメだよ。充分近づいて調べるのが肝心だ。どんな感じか分かるかね?」
「分かります」
「そこで質問だ。君は、どきどきするか?」
顕微鏡をのぞいても、僕はきっとワクワクしないでしょうが、結局はこれがすべてです。
ワクワクするかどうか?
「自分の好きな事、ワクワクすることなんて分からない」
それはたぶん嘘です。
厳しい言い方をすれば、やりたいことを実行するのが怖いから、見てみぬふりをしているだけだと思います。
「お金が無限にあると考えたら何がしたいですか?」
「今日から学校に行かなくて良い、と決められたら、1日何をしますか?」
そんな時はこんな風に、制限を外す質問をしてみてください。
そして、思いついたことを出来る限りリアルに想像し、自分の心の動きを観察します。
まとめ
以上、偉大な物理学者、ファインマンの言葉に沿って、高校生の進路の悩みに回答してみました。
参考になるような、、、ならないような、、、
自分の興味を貫いて生きる彼の生き方に、僕自身も感化されたところがありました。
皆さんも参考にしてみてください^ ^