失敗しない自治体選び!地域おこし協力隊を検討するときに調べておきたいこと4選!

こんにちは!

僕は大学院を中退してすぐに、とある離島の地域おこし協力隊となりました。僕が赴任した時は、島に4人しかいなかった協力隊でしたが、その後毎年数が増え続け、現在は20名以上の大所帯となっています。

この記事を読んでくださっているということは、あなたも

地域おこし協力隊として働くってどうなんだろう?

と興味を持ってくださっているかもしれません。

しかし、地域おこし協力隊というと、予測変換でこんなワードが出てきたり、、、

ちょっと調べるとなんだか心配になってしまうような記事もたくさん出てきます。。。

このような現状もあるので、地域おこし協力隊に興味を持って調べてみても、不安に思ってしまう方は非常に多いのではないでしょうか?

実際に、僕の住んでいた離島にも、満足に働けている協力隊もいれば、自分の働く意義が見いだせずに悩んでいる協力隊もいました。実は、協力隊を考えるときは、自治体だけを見るのではなく、担当部署等も考える必要があったりします。満足のいく生活を送るためには様々な観点で自治体を検討する必要があるんです。

もっとも、無事に任期を満了した自分も、協力隊赴任時はまだ若かったため、そんなに深く考えていませんでしたが、、、

そんなわけで今回は、これから地域おこし協力隊になろうかな~と考えている人が、自治体の選択で失敗をしないように大切なことを紹介していきたいと思います!

そもそも地域おこし協力隊とは?

地域おこし協力隊は2009年より、総務省が始めた事業で、ざっくりと説明すると『都市部の人材を地方に派遣して、地域活性を目指そう!』という取り組みです。

通りすがりのインコ
ざっくりしすぎちゃう???
活動内容は自治体によって様々。農業、漁業、観光、教育などなど、あらゆるジャンルの活動があります。また、業務が明確に決まっている場合もあれば、ほとんど何も決まっていないケースも。
協力隊の任期は3年間で、3年目には、起業の準備金として最大100万円の助成を受け取ることが出来ます。とはいえ、基本的に契約は単年更新のため
通りすがりのゴリラ
3年間絶対頑張ってやるぜ!
みたいに鼻息荒く始める必要はありません。
開始初年度の隊員数は、わずか100人弱。2019年には、5000人を超える協力隊員が全国各地で活躍をしています。
うちの自治体に視察に来た官公庁の職員が、
視察に来た人
協力隊は国が行った施策としては珍しく上手くいっている事業
と皮肉交じりにに褒めていたくらいです(笑)

協力隊を採用する自治体にとってのメリットとは?

地域おこし協力隊がここまで爆発的に増えたのは、『地方創生』がトレンドワードになっていること、大都市圏ではなく、自然豊かな地域に住むことが良いという考え方がメジャーになってきたことなど、様々な要因があげられると思います。

ただ、忘れてはならないのは、地域おこし協力隊を採用する自治体側のメリットです。それは、地域おこし協力隊の経費、400万円(人件費200万、活動費200万)は国から補填されるということです(ちなみに、正確に言えば、活動費は満額ではなく7~8割くらいの補助になるみたいですね)。

このご時世、かつかつの予算で頑張っているのは、どこの自治体も同じ。そんな中、人ひとり分の人件費と活動費を与えてくれる本制度は、地方の自治体にとってはとてもありがたいものなのです。

ただ、その一方で「体の良い人件費」として、本制度が使われてしまう場合もあります。地域おこし協力隊としての赴任を考える人が、一番注意するべきところはこの部分です。ひどい場合は、役場の仕事の一部を手伝わされるだけで自身の活動が出来ない、ということになってしまうこともあるようです。

通りすがりの丸の内OL
都会も疲れるし、とりあえず田舎に住んでみたいな~

くらいの感覚の人にとっては、自分で考えて行動しなくても良いので楽かもしれませんが。。。(ただ、そういう働き方は、キャリアにはつながりにくいです)

極端な例を紹介しましたが、程度のさこそあれ『地域おこし協力隊制度は使いやすい人件費』という認識は、どこの自治体にもあると思います。実際に使いやすいのでしょうがないんです。このことを踏まえて、自身自身が「体の良い労働力」として扱われない、良い自治体と出会うためのポイントを書いていきたいと思います!

良い自治体と出会うために確認すべき5つのこと!

担当、所属する組織に明確な課題意識や想いはあるか?

地域おこし協力隊として活動する場合、ほとんど単独の個人で活動することもありますが、どこかに所属し、職員として働くケースがほとんどです(役場の嘱託職員など)。

なので、必ず地域おこし協力隊の担当課、担当する人がいます。

その担当の部署が、

自治体職員
まっ、とりあえず協力隊入れてみようか~

くらいのテンションで地域おこし協力隊を導入してしまった場合、多くのケースで良い結果になりません。明確な目標や課題意識もないため、「とりあえず机はあるけど、あとはやりたいことやってね~」とほとんどほったらかし状態になってしまうこともあります。

えっ?それって自由で良くね!?上司いないとか最高でしょ!

と思う人もいるかもしれませんが、世の中の仕事のほとんどは一人では完結しません。どうしても所属団体の協力が必要な場合も出てくると思います。そうなったときに、積極的に協力して、応援してくれる組織なのかどうかは、自分のやりたいことを実現するためには大切なことだと思います。

しかも悪いことに、必要性を十分に感じていない担当者にとっては、地域おこし協力隊の管理業務は、『単純に仕事が増えるだけ』なんですよ。その場合、新しい何かに取り組もうとした際に、応援どころか制限をしてくる場合もあります。

言うまでもなく地域の現状を顧みない自分都合の提案が通らないのはしょうがないことですし、合意にいたる信頼関係や合理性がないのであれば、それは協力隊自身の責任だとは思いますが、、、

そして、確認を忘れてはならないことは『その人が来年もいるかどうか』です。地方公務員は数年ごとに全く違う業務を担当します。福祉にいた人が財政に行ったりするんです。

担当の人
来てくれてありがとう~!でも、今年から異動になっちゃったのよね~~~。

みたいにせっかく来たのに担当の方が入れ替わってしまう場合もあります。もちろん、職員自身も次の年度に異動があるかどうかは分からないケースがほとんどですが、しかし、その職員は、その仕事は何年目なのか?その自治体、課としての方針、考えなどは聞いておくと良いでしょう。

実際に僕が赴任した年度に、以前から改革に邁進していたリーダー格の人が異動してしまいましった。そのことが事業に与えた影響はかなり大きかったな~と思います。

まとめ
地域おこし協力隊の管轄している部署や担当の方の熱意や課題意識を聞き、またその人たちが次年度もいるのかどうかをよく調べましょう。

予算を使う場合の決裁権は誰にあるか?また、予算はどのくらい使えるか?

地域おこし協力隊は、人件費の200万円以外にも、活動費として200万円の予算を持っています。

しかし、その費用も税金が財源です。そのため、

いろいろ勘違いしがちな若者
ひゃっほ~!200万円自由に使えるぜ!!!

みたいに自由に使えるわけではありません。大抵は、その予算の管理をしている職員がおり、その職員、およびその職員の上司の了承を取る必要があります。また、活動費200万円をすべて事業のために使えるわけではありません。

自分が予算を使って活動を行う場合に、誰に許可を取れれば、その活動が行えるのかどうかを事前に確認しましょう。また、もし今の段階でやってみたいことがあるのであれば、その担当の方に相談してみるとなお良いと思います。

こうして事前に確認しておけば、、、

地域おこし協力隊
こんなのやりたいから予算を使いたい!
自治体職員
あ~ごめん。それはちょっといろいろ考えるとやっぱり許可できないわ~。
地域おこし協力隊
えっ!話が違うじゃん!!!

みたいになってしまうケースを防げます。もちろん、信頼としっかりとした根回しと明確な意義や目的をプレゼンできれば、そうはならないと思うので、一概に自治体職員が悪いとは言えないですが、、、

また、活動費の200万円を満額使えるわけではない、ということも注意が必要です。地域おこし協力隊への様々な補助(光熱費や車のリース代、燃料代など)は、多くの場合自分たちの活動費から補っています。場所によっては独自の財源を使っているところもあるため、自治体によって様々ではありますが、自分たちが自由に使える予算はどの程度あるのかも確認しておきましょう。

さらに、申し込んだ職種によっては、活動費の使い道がほとんど決まっているような場合もあります。自分が申し込んでいる職種では、そもそも予算を自由に使えるのかを確認しましょう!後々、揉めることがなくなります。

まとめ
予算を使う際の決裁権は誰にあるのか?
活動費のうち、自身の裁量で使える額はいくらか?
これらを確認しましょう!

先輩はいるか?その定住率や任期満了率は?

その地域ですでに地域おこし協力隊の受け入れ実績がある場合は、彼らが任期中や任期後にどのように過ごしているかを調べましょう。

定住率が低い自治体も高い自治体もあります。もちろん、それが直接の良し悪しとは必ずつながるわけではないですが、やはり人が残る地域には、何かがあります。自治体の人が正直に話してくれるかどうかは分からないですが、地域おこし協力隊の任期満了率、定住率などの深い背景を知ることが出来ると、その自治体の魅力についてもより理解できると思います。

一番いいのは、その土地で地域おこし協力隊を満了した人や途中で帰った人に話を聞くことですが、どうやってつながるのか?ということと、そもそも正直に話してくれるのか?という問題もあるので上手くいく保証はないかもしれません。

ちなみに、総務省が毎年地域おこし協力隊についての資料を出してくれているのですが、それによると、任期満了後に同地域にとどまる割合は約6割。これよりも極端に低い場合はその事情を聴いてみても良いかもしれません。

業務内容は明確に決まっているか?

これは、最初の質問とも重なる部分にはなるのですが、業務内容が明確に決まっているかどうかも具体的に聞いてみましょう。

 
とりあえず地産地消に取り組んで!

みたいにざっくりとしたオーターしか持っていないことの方が多かったりします。しかし、このような場合、業務内容はほぼ協力隊任せになります。すなわちほとんど放置ということです。もちろん、そもそもの地域おこし協力隊のスタイルは、自ら地域に飛び込んでそこに住む人たちと暮らしながら、課題を発見し、見つけた課題に挑む、というのが始まりだと思うので、それ自体の良し悪しはないと思います。ただ、そのオーダーがあまりにも漠然としている場合は、「来てみたはいいものの、何をすれば良いのか分からない」という状況に陥ってしまうこともあります。

また、そのようにオーダーが漠然としている自治体は、明確な意思や目標を持った人を採用するべきだと思いますが、そこのマッチングを仕切れない自治体がほとんどなので、往々にして

自治体の人

なんか地域に益になることをやって!

新人協力隊
えっ、そんなこと言われても何をしていいか分からない・・・

みたいな悲劇が起きてしまうのです。

明確な課題意識を持っているような自治体の場合は、「何をすればいいのか分からない!」みたいな状況に陥ることは多くありません。もちろん、やるべきことが決まり過ぎていて、その仕事をやるだけで手一杯という状況は良くないですが、ある程度の基礎業務は決まっていながら、自分のアイデアを実現する余白も十分にある、というような状態が理想的なのではないかと思います。業務内容は完全フリー!というような場所もありますが、スキルもビジョンもない人がそこに飛び込むのはややリスキーかなと。3年間をただ浪費して終わる可能性が高いのではないかと、個人的には思います。

とはいえ、期待値は上げ過ぎない

ここまでいろいろと書いてきてあれなんですが、、、

上述したような、すべての条件を満たすような理想的な自治体などほとんどない、と思った方が良いと思います。というのも、地方は基本的に人材不足です、これは単純に、人手が足りないという意味ではなく、言い方は悪いですが、しっかり仕事のできる人ばかりではない、ということです、

通りすがりの猫
んな殺生な・・・

メールをほとんど見なかったり、頼んだことはよく忘れられていたり、こちらからすれば、当然と思えることも自治体の方からすればそうでないこともよくあります。

また、働いている現場が感じている課題感を理解してくれないことも珍しくはありません。傲慢な言い方に聞こえると良くないのですが、僕らは、自分が携わっている分野について、ある程度勉強はしますし、先進事例等も調べたりします。しかし、自治体の方がそうとも限らず、その場合、自分たちの感じている課題感等を理解して、行動してもらうことはかなり難しくなります。

基本的に、どこもこんなものだと思って臨んだ方が地域で健全に生きていけると思います。これらの障害があってもなお、どこをどんな風に攻略したら、自分の理想を実現できるか?ということまで考えるのが、地域おこし協力隊として必要な努力だと思うからです。

期待値は上げ過ぎず、多少の困難があっても乗り越えていくメンタリティを持ちましょう。素敵な担当者の方が熱い想いを持っていて、いっしょに働くことがとても楽しい!なんてケースは、ないわけではないですが、稀だと思っていた方が気が楽です。また、そういった周囲に頼れる人がいない中でどのように業務を進められたかは、自身の市場価値を高めるので、後々、転職するとしても生きてくると思います。民間の企業においても、いかに社内の合意を形成し、やりたいことを実現していくかということは大切な能力だからです。

まとめ

以上、これから地域おこし協力隊になろうと思っている人が、知っておくべき自治体の見分け方について紹介しました。なんやかんや、自治体選びのポイントは、人、に尽きると思います。そこに魅力的な人がいるか?いっしょに働きたいと思える人がどうかをよく考えて、しっかり感じて、後悔のない自治体選びが出来ることを応援しております!

ここまで読んでくださりありがとうございました!

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