「は~もう何かといえば進路進路って、、、もういやんなっちゃうよ。そんなに聞かれても分からないものは分からないもんは分からないっつーの!」
「お~なんか今日はいつにも増してイライラしてるみたいね。」
「ちょうどこの間3者面談があったわけ。そしたらまあお決まりの質問されて、『大学は決めたか?』って。私が『まだ分からないけど、人と関わることが好きだからそういう系がいいな~』って答えたら、『そろそろ決めないといけないぞ』って、、、分かってるんだけど決められないもんは決められないよ~。」
「そうね~。将来の夢ってなんでこんなに決まらないんだろうね?かくいう私も、これからの人生どうしようかといつも悩んでいるわけなんだけど、何かヒントになるかもしれないと思ってこんな記事は書いているので参考にしてもらいつつ・・・」
こんにちは! 進路アドバイザーのおかもってぃです。 高校生のみなさんは進路決まってますか? がっつり決まっているという人もいれば、なんとなく決まっているという人もいれば、まったくもってノープラン!という[…]
「今回はそもそもどうして『将来の夢が見つからない』っていう悩みが生まれているのか?そんなことを話してみたいと思います。」
「悩みが生まれている原因???夢が見つからないからじゃないの?」
「それは確かにそうなんだけど、それより以前、そもそも数十年前の学生は将来の夢が見つからないって悩んでいなかったと思うんだよね。」
「えっ?そうなの?いいな~昔の学生は・・・」
「そんなわけで今回は、法政大学キャリアデザイン学部の教授、児美川孝一郎さんの著書『夢があふれる社会に希望はあるか』から、高校生が進路についてこんなに悩むようになった原因を話してみたいと思います。」
そもそも将来の夢は『叶わない』
そもそも、今の大人のどれくらいが将来の夢をかなえることが出来たのか?
そんなことを、株式会社セレスというところが2012年に調査したそうです。
20代~50代の男女2000人以上に、「夢の職業に就くことが出来たかどうか?」を調査し、
- 就くことができ、今も就いている(夢を叶えた)
- 就くことはできたが辞めてしまった
- 就けていないが現在も目指している(叶っていない)
- 就くことができず諦めた(叶っていない)
以上の4つのどれに当てはまるかを調べたそうです。
結果は以下です。
平均して、83%の大人が
- 就けていないが現在も目指している(叶っていない)
- 就くことができず諦めた(叶っていない)
と解答しました。
つまり、8割以上の大人は夢を叶えていない、と解答したのです。
そもそも、夢を叶えていないことが悪いことなのか?夢を叶えたという基準はなんなのか?いろいろな疑問は生じるものの、8割以上の大人が、夢を叶えていない、と回答しているのは事実なわけで、、、
それにも関わらず、なぜ、今の子どもたちは、将来の夢についての作文を書かされたり、発表させられたりしているのか?
児美川教授は、今の日本が「夢を強迫する社会」なってしまった、つまり、みんなに「夢を持て!」と強要する社会になってしまったからだと言います。
キャリア教育がもたらした弊害
なぜ、このような社会になってしまったのか?
その原因は、2004年から日本全国の小中学校、高校で推進されるようになった取り組み、キャリア教育の間違ったあり方に起因します。
みなさんも、キャリア教育という言葉は聞いたことがありますよね。
これは、
- キャリア発達の支援
- 勤労観・職業観の育成
- 社会的・職業的自立の促進
などを目指す教育のこと。明確な定義は存在していませんが、「社会でも行かせるようなことを学校でも学ぼう!」そんな方針のことだとざっくり理解しておいてもらえればと思います。
インターンシップは、キャリア教育で盛んに行われている取り組みの一つです。
キャリア教育が始まったきっかけは、フリーターの増加など若者の雇用環境にあります。
1990年代後半から2000年にかけて、日本の社会は就職難に陥り、非正規労働者やフリーターが増加。
加えて、職についてもすぐにやめてしまう若者が増えました。
また、「ニート」と呼ばれる親のすねをかじり続ける若者の増加は社会問題にもなりました。
この問題の原因を『若者の意識・意欲の欠如』であると考えて、もっと若いころから「将来の夢」や「やりたい職業」など、夢を持たせれば、問題は解決するのではないか?
そうして始まったのがキャリア教育なんです。
つまり
- 若者がしっかり働かない。これは問題だ!
- その原因は意識・意欲がないから
- 「将来の夢」を持たせれば、意欲的になるのではないか?
こうした、考えのもと始まったのがキャリア教育で、ある種「夢を強迫する」ことが始まってしまったというわけです。
ひどい論理展開ですが・・・
夢がないと追い詰められる
キャリア教育の特徴は3つだと児美川教授は分析。
- 自己理解
- 職業理解
- キャリアプランの作成
自分のことを知り、仕事について知り、やりたいことを見定めて、人生設計を建てよう!という物です。
いろいろとツッコミたいことはありますが、まあ、自己理解も職業理解も重要だとは思います。
このようなキャリア教育には、夢とは努力すれば見つかるもの、という前提があります。
この前提があるため、夢や将来の目標がないと、努力が足りない、怠慢だとみなされるようになってしまったのです。
こうして、夢を持つことが是とされる、夢追い型のキャリア教育になってしまったというわけです。
本当は、夢がなくても懸命に生きてきた人はたくさんいるはずですし、また、これからの時代はやりたい職業を明確に決め過ぎると、逆に危険な可能性もあります。
こんにちは! 進路アドバイザーのおかもってぃです。 『将来の夢』って持ってないとダメなやつみたいな風潮ありませんか? 進路相談で将来の進路が決まってないと言うと 「そろそろ決めろ」とか「自分の人生[…]
そういった可能性を全く見ずに、勧められてきたのが2000年代のキャリア教育でした。
そしてその弊害で、「将来の夢が分からない」という悩みを持つ生徒が増えてしまったんですね。
まとめ
「ふ~ん、そんなことがあったわけね。まあこっちとしてはたまったもんじゃないわ。」
「まあそうよね。ただもちろん、夢を持つこと自体が悪いことだとは僕も思っていません。ただ、夢を持てとある意味強迫されて、『持たされた夢』であれば、そんなものは持っていても意味がないなと思うわけです。」
「そうは言っても進路は決めないとね。どうしようかな・・・」
「選択自体には正解はなくて、行った先でどう頑張るかも重要だと思います。そんなに深刻に考え過ぎず、今出来ることをやっていきましょう!」
こんにちは! おかもってぃです^^ 高2の3学期と言えば、進路選択の時期。 というか高2~高3にかけてずっとですよね。 もう耳にタコができるくらい 『進路はどうするんだ?』と聞かれて嫌になっている人もいると思います。 僕もそんな[…]