いくら勉強しても成績が伸びない生徒がいる、一体何が起こっているのか?

こんにちは!

進路アドバイザーのおかもってぃです。

 

自分の受験時代の周囲の様子を見ても、塾講師のアルバイトをしていたときも必ずいるのが「何をやっても伸びない生徒」

もちろん、本人のやる気がないし、勉強もしていなかったら伸びないのはよく分かるんですが、僕らが知らなければならない事実は、やる気もあって勉強もしているのに伸びない生徒がいるということです。

ここから先は僕の仮説ですが、7年くらいそんな生徒たちを見てきた上での結論を紹介します。

先に結論を紹介すると、

言語能力の不足

論理的思考能力の低さ

特徴やパターン認識が出来ず、すべての出題パターンを覚えなくてはいけなくなってしまっている

こんな構造なのではないかと思っています。

頭の良さは抽象度の高さで決まる

頭が良い人って何が違うかというと(決して自分が頭がよいと言いたいわけではありません、汗)複数の物事から特徴やパターンを見出すことが出来る人なんです。

人よりも一歩抽象度の高い話が出来る人のことです。

「それって結局○○ってことだよね。」みたいに物事の本質をびしっとついた一言を言えるあの能力です!

僕もその能力欲しい、笑

勉強で言うと「物理って結局運動方程式だよね」とか、「数学って結局暗記だよね」とか言えちゃうやつですね。

そういうことが言える人は、いろんな問題に触れ、それぞれから特徴的なパターンや法則を見出し、一つ上の抽象度で物事を見ています。

だから、「物理の鉛直投げ上げ運動、鉛直投げ下ろし運動、加速度運動、つり合いの式・・・覚えることがいっぱいだ!」って困っている人がいたら、

「それって全部ただの運動方程式だよ」って言えてしまうわけです。

抽象度が高いところは情報量が少なくて済みます。

教え方が上手い講師は、この抽象度が高いところを上手く伝えられる人です。

抽象度を上げたところを理解しきれない生徒

ただ、勉強の苦手な生徒には、この抽象度を上げた情報が抽象度を上げた情報として伝わっていないことがあります。

具体的に説明していきましょう。

例えば、ある講師が「小麦粉と水と卵を混ぜて焼くと料理が出来る」ということを伝えるためにお好み焼きを作る授業を設計しました(もちろん他の具も必要ですが割愛)。

生徒はみんな、小麦粉と水と卵を混ぜて焼いてお好み焼きを作ります。

授業は大成功!「お好み焼きが出来た!」とみんな喜んでいます。

講師の方も「よし、これで小麦粉と水と卵を混ぜて焼くと料理が出来るということが伝わった」と満足しました。

次の期末テストで「お好み焼きの作り方は?」という問題を作りました。

すべての生徒が答えられました。

しかし、「では同じように小麦粉で出来ているたこ焼きの作り方は?」と聞きました。

すると驚くべきことに答えられない生徒がいるんです。

同じ小麦粉を使った料理で加熱するからやっぱり水と卵を使うのかな?という類推が出来ない生徒がいるんです。

彼らは「小麦粉と水と卵を混ぜて焼くとお好み焼きになる」ということは理解しましたが、「小麦粉と水と卵を混ぜて焼くといろんな料理が作れる」というところまでは理解していないんです。

講師が伝えたかったエッセンスの一つ下の具体的なところしか分かっていないんです。

これは極端な例なのであり得ないかもしれませんが、同様のことが本当に起こってしまっています。

講師としては、エッセンスを伝えたつもりになっていても、生徒は具体的な話としてしか理解しておらず、結局問題パターンが変わると解けなくなってしまうということが起きます。

抽象化に必要な論理的思考力とベースとなる言語能力

では抽象化に必要な能力とは何か?

それは、複数の物事からエッセンスを抽出する論理的思考力だと思います。

例えばこんな例文(適当に作った駄文で失礼・・・)

太郎は、テスト前日に友人とLINEをしていて夜更かしをしてしまった。案の定、次の日に寝坊をした。朝時計を見た瞬間の絶望感が半場ない。「やばい!やってしまった!」。食パンを口にくわえ、急いで家を飛び出る太郎。始業時刻まであと5分。家から学校までは20分。どうあがいても間に合わない・・・。昨日の自分の選択を後悔する太郎だった。

 

この文章を要約すると、「太郎はテスト前日に夜更かしをし、テストに遅刻しそうである。」となります。

こんな風に多くの単語の中から論理的なつながりを見出し、重要なところだけを抜いて、要約します。

これは文章を抽象化するということであり、論理的思考能力を使っています。

勉強で考えるならば、教科書に書いてあることを理解して、自分の言葉でまとめること、と言ってもいいかもしれません。

そんなわけで抽象化には論理的な思考能力が必要です。

そして、この論理的思考能力も文章そのものの意味を理解する言語能力がないと成り立ちません

一つ一つの語彙や接続詞の使われ方を理解しないと、要約も何もないですからね。

まとめると、勉強が特に苦手な子にはこんなことが起こっているのではないかと思うのです。

社会問題化している教科書を理解できない生徒

子供の言語能力について、問題視している先駆者は、人工知能の研究者の新井紀子教授です。

出典:TED.com

AIで東大に入ることを目指し研究を行っていた新井教授ですが、ロボットに文章を「理解」させることは実は想像以上に難しい事なのです。

そこで人間の子どもがどのように文章を理解しているのかを調べたところ、驚愕の事実が明らかになりました。

なんと多くの生徒が実に簡単な文章すら理解できていないことが明らかになったのです。

以下、実際に行われたリーディングスキルテストの内容です。

Q. 以下の文章は同じ意味かどうか。

①幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた

②1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた

これどう読んでも意味違いますよね。

にもかかわらず、なんと「同じ」と答えた中学生が43%、高校生が28%もいたそうです。

このレベルの文章が読めなければ、教科書に書いてある内容が分かるはずはありません。

いわゆる低学力、と呼ばれる生徒たちの間では同じことが起こっているのかもしれません。

対策はどうすればいい?

すみませんが、有効な手立てを僕は知りません、泣

泣きっ面にハチの情報を加えると、スタンフォード大学の研究によると、子どもの言語能力は幼少期に親が子供に話しかけた語彙量で決まるらしいです。

だから幼少期にしっかりと親が子供に話しかけれるような環境を作ることが何よりも大切です。

「えっじゃあ中高生は今更じゃ厳しいんじゃ・・・」

そんな絶望的な気分になります・・・

ひとまず出来ることは、言語能力を高めるために、語彙数を増やし、接続詞の読み取り方を伝え論理の取り方を教え、文章を何度も読ませ、何度も書かせてトレーニングすることかな、とは思います。

もしくは、みんながみんな論理的思考能力を伸ばすのではなくて、彼らなりに秀でた分野を探してそこを伸ばすということくらいですね。

あまり参考にならなくてすみません。

まとめ

そんなわけで、いくら勉強しても伸びない生徒がいる、という話でした。

自分や人間の言語や認知の専門家ではないので間違ったことも書いているかもしれませんし、言語能力が低くても、抽象化する能力が高い子はいるかもしれません。

あくまで参考として、皆さんの普段の指導に生かしてもらえればと思っています。

個人的には、最後にも書きましたが、勉強が苦手なことも一つの多様性なのだと思っています。

人間の多様な能力の中で、「論理的思考能力、言語能力が低い」っていうだけですからね。

スペインの天才建築家、アントニオガウディも言語能力はさっぱりだったらしいですし。

今の大学入試改革は結局のところ、論理的思考能力、高い言語能力が求められる方向性になっている気がします。

まあ大学ってそういうところだからしょうがないか、とは思うんですが、大学入試以外の逃げ道もあっていいんじゃないかと、そんなことを思う次第です。

 

最後はつらつら綴った駄文になってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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